コッポラ監督「ゴッドファーザーPART3」ラストシーンのあっけなさこそこの映画の肝

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「ゴッドファーザー」PART1、2は映画史に残るギャング映画の金字塔となった。
しかし同時にその続編にあたる「ゴッドファーザーPART3」は映画史に残る期待外れの駄作として知られている。

 

そこには監督フランシス・フォード・コッポラが自身の愛娘ソフィア・コッポラを重要キャラとして配役しただとか、実際にバチカンで起こったスキャンダラスな事件をほぼ完璧にトレースしているだとか、とにかく駄作とされている理由を探せば様々な意見が聞かれる。

 

しかし個人的には「ゴッドファーザーPART3」は前作2作に引けをとらない名作だと思っている。
実際のところソフィア・コッポラは「ゴッドファーザー」PART1においてアル・パチーノ演じるマイケルの長男アンソニーの赤子役として鮮烈なデビューを果たしているし、、、(これはさすがに反論として厳しいが)
バチカン、イタリア政治家、マフィアの癒着を題材とするのはその問題性を白日の元にさらす目的とすればとても意義ある表現とも言えるだろう。
加えてPART3においても監督コッポラと撮影のゴードン・ウィルスが作り出す重厚な世界観はしっかりと表現されている。
個人的にはスポーツ刈りにしたアル・パチーノが暗い部屋の中暖かな光に照らされ平然と殺しの話をしてくれるだけで手を合わせたくなる次第だ。
というわけで世の中に溢れるPART3駄作説を吹っ飛ばすためにしっかりと「ゴッドファーザーPART3」の良いところを書いていきたい。

 

「ゴッドファーザーPART3」は1990年に公開されたアメリカ映画。
前2作に引き続き監督はフランシス・フォード・コッポラ、脚本はコッポラと同名の原作小説の著者マリオ・プーゾ。
出演にアル・パチーノ、ダイアン・キートン、タリア・シャイア、アンディ・ガルシア、ソフィア・コッポラなど。

 

「ゴッドファーザー」シリーズPART1では大学、軍隊出のマフィアを嫌うマフィア一家の三男マイケルが、望まずともマフィアの世界に足を踏み入れ、たくましくも少しずつ冷酷になっていく姿を描いた。
妻であるケイの背後で、忠誠を誓われるマイケルの変わりゆく姿で幕を閉じる。

 

PART2ではマイケルの父である皆に尊敬されたヴィトの若き日と、冷酷を極めていくマイケルという二人のゴッドファーザーの姿を交互に描いた。
クライマックスでヴィトが亡き兄の復讐のためシチリアの年老いたマフィアを殺す姿と、マイケルが実の兄フレドを殺す対照的な姿が印象的だった。

 

そしてPART3ではシリーズの円環を閉じるかのように、PART1の年老いたヴィトを彷彿とさせるマイケルの晩年が描かれる。

 

OPの祝事の裏で密談をするマイケル、その背後には懐かしいブラインドから射す暖かな光、PART1のヴィトの登場シーンと全く同じ光景がPART3にも見られる。
さらには稼業を拒絶するマイケルの長男アンソニー、後継者候補ヴィンセントの登場、話が進むにつれて愛すほどに離れていく家族、ラストでの大粛清など、俯瞰してみるまでもなくPART1とミラーリングの構成になっていることがわかる。
PART2も似た構成でできていることから、もしかしたらあまりにも定式化されたこの構成に対して「結局同じ話じゃねーかよ!!」という不評が巻き起こったのかもしれない。
確かにいつまで経ってもマイケルの気持ちを汲んであげないケイに少しイラついたり、逆にマイケルに自分が父として毅然と振舞う態度には少しばかりの疑問は感じるが、前作と同じ構成にはいけないというルールなんてない。
正義が必ず勝つご都合主義のヒーロー映画を喜んで見たり、渡世人と語る男が振られる話を48回続けることだってあるんだから、毎度家族を想う愛が故に逆に家族が離れていく哀しき男マイケル・コルレオーネの姿だって文句を言わずに見てあげて欲しい。
それに基本的な構造はPART1、2と大きく変わってはいないかもしれないが、今作ではPART1で死んでしまったマイケルの兄ソニーの息子である荒くれ者ヴィンセントが登場したり、その荒くれ者ヴィンセントがマイケルの後を継ぎゴッドファーザーになるという展開には心が躍る。
PART1のラストでマイケルに対して忠誠を使う約束として手の甲にキスする儀式がヴィンセントに向けられ、悪の気高き魂が継承されるシーンは胸熱だろう。
さらにさりげなくシリーズ皆勤賞のネリは相変わらずの活躍っぷりだし、OPシーンではPART1でも美声を披露し映画プロデューサーに馬の首をプレゼントさせるきっかけを作ったジョニー・オーラが再び美声を披露してくれるあたりはPART1からのファンは嬉しすぎて序盤で涙を流すはずだ。

 

さらにさらに、PART1では男たちの悪行を指をくわえて見ていることしかできなかったファミリーの女性陣の役割も回を追うごとに存在感を増している。
PART2ではマイケルの非道な行為に豪快な張り手を喰らいながらも立ち向かうケイの姿はかっこよかったし、PART3では(決して褒められたわけではないが)マイケルの妹コニーもファミリーの犯罪に加わり社会参画を達成している。
公開時のジェンダー観を測る上でも「ゴッドファーザー」シリーズはPART3を含めて意義あるシリーズだろう。

 

先述の通りマイケルは終盤で兄ソニーの息子ヴィンセントにゴッドファーザーの椅子を譲ることとなる。
しかしこれで激動の時代を生きたマイケルのマフィア人生の復讐、悲しみの円環が綺麗に閉じる…となるわけではもちろんない。
クライマックスでマイケルは自らの愛娘メアリーの命を奪われてしまう。もちろん自らの行いが引き金となっているのは言うまでもない。
このシーンはとても哀しいが、哀しくもマフィア映画はこうでないと…と思わされてしまう。
過激なバイオレンスやヒリヒリする駆け引きで僕らを散々楽しませてくれるマフィアたちも、その正体は犯罪組織。人の負を食べて生きる人々だ。
映画に描かれる彼らの多くは自らが死ぬか、最も大事な人を失って初めて本当の意味で自分の罪に気づく。
(そのお決まりを打破したのがコッポラの盟友マーティン・スコセッシの「グッドフェローズ」こちらも最高のマフィア映画なので是非見て欲しい。)

 

強大な力を得なければメアリーやファミリー全体を守れなかったマイケル、しかし強大な力を得る代償はまさにマイケルが大切に想う人々の命だった。
結局のところ「ゴッドファーザー」シリーズはこのジレンマの前者を描く物語であり、後者に関してはとうとう最終作であるPART3において顕著に描かれ、最も愛する我が子をマイケルは失う事になる。
やっぱり「ゴッドファーザーPART3」は「権力」と「愛」のバランス明確に描いた名作だ。

 

シリーズのナンバリングを重ねるごとにマーロン・ブランド、ロバート・デュヴァル、リチャード・カステラーノといった名優が離れていった製作事情も、マイケルから愛する家族が離れていったのと重なって興味深い。

 

そして何よりラストシーンのあっけなさこそこの映画の肝だ。
仕方なくマフィアの世界に足を踏み入れ、愛する人を守るために人を殺し、気付けば血みどろになった手を家族は恐れ、彼を恐れ、嫌い、離れていく。
マイケルは権力を手にし、大金持ちになった代わりに、世界一孤独になった。

 

きっとマイケルは誰よりも家族の愛を求め、誰よりも悪に染まった人生の多くを経験した男だ。
この映画のラストで、この男はシチリアの地で一人椅子に座り死んでいく。
操り人形の糸がプツンと切れたように地面に崩れ落ちる。
1分くらいのシーンだろうか。大作シリーズのラストを締めるにはあまりにもあっけない。
でも、あっけないところが良い。
マイケルの罪の重さや孤独が深く伝わる。
父ヴィトのように暖かく街を仕切るマフィアの時代はとうに過ぎたことが二人の死際ですら対比して描かれる。
個人的にはシリーズの中でも3本の指に入る好きなシーンだ。

 

この壮大なサーガを撮り続けてきたフランシス・フォード・コッポラとゴードン・ウィルス、、素晴らしい音楽をつけてきたニーノ・ロータ、カーマイン・コッポラ(フランシス・フォード・コッポラの父)にありがとうと、おつかれさまを言いたい。

 

「ゴッドファーザーPART3」は決して駄作ではない、コッポラも反省しているらしいが決して駄作ではない。
PART1、PART2も含めたシリーズとして、今後も多くの人に愛されて欲しいと願う。

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