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映画監督18人が答えるそれぞれの「クロサワベスト3」
日本の映画監督18人に聞く、「私が選ぶ黒澤明作品ベスト3」。
岩井俊二、大森一樹、井筒和幸らの日本映画を代表する監督たちにアンケートを取って答えてもらったものである。
※河出書房新社 生誕100年総特集 黒澤明 永久保存版より
監督名 | 好きな黒澤作品ベスト3 | 黒澤作品の魅力と参考になる点 |
---|---|---|
青山真治 |
@まあだだよ |
良い意味で何年青年的な前衛趣味と正義感。そして清潔さ。とりわけ『まあだだよ』の反現実主義的空間造型と『悪い奴ほどよく眠る』の繊細極まる描写には真に驚愕した。『八月の狂詩曲』は珍しくロッセリーニ的な演出が成功していた。 |
市川準 |
@酔いどれ天使 |
映画が大衆と共に生き、娯楽の王者であることを作り手も観客も信じて疑わなかった時代の、映画の豊かさとつややかさが、黒澤作品の最大の魅力だと思う。そして黒澤映画は、映画というのは気迫であるということをいつも教えてくれる。 |
井土紀州 |
@悪い奴ほどよく眠る
|
『悪い奴ほどよく眠る』の脚本には、黒澤明を含め、小国英雄、久板栄二郎、菊島隆三、橋本忍らの5人の名前がクレジットされている。複数のシナリオライターが知恵を縛り、アイデアを出し合って、ボリューム感のあるドラマを作り上げるということに、大きな魅力と可能性を感じる。 |
井筒和幸 |
@隠し砦の三悪人
|
魅力といわれても困る。『七人の侍』は僕には反面教師でしかなかった。 |
岩井俊二 |
@酔いどれ天使
|
黒澤明の映画は人間を描いているというよりはあれはほとんど怪獣映画だ。 |
大森一樹 |
@赤ひげ
|
映画作りをソフトとハードに分けると映画監督の役割はソフト中心と考えられがちですが、黒澤明監督を見ていると、映画監督はハードも100%知っていないと完全ではないと改めて思わされます。
|
風間志織 |
@デルス・ウザーラ
|
それほど黒澤作品は見ていません。 |
熊切和嘉 |
@天国と地獄
|
どの作品もオープニングから自然と作品世界に引き込まれて、最後までテンションが下がらない。画面作りの徹底ぶりはもちろんのこと、人物やプロットも魅力的で面白く、感動的。何よりも映画的な贅沢さがギッシリと詰まっている。黒澤明監督というのは、テーマ以前に映画の「観せ方」を完璧に心得た人だと思う。私も映画の「観せ方」をもっと研究して、1カット1カット粘り強く画を作っていきたい。 |
黒坂圭太 |
@どですかでん
|
『どですかでん』は黒澤ワールドの初体験。それまで映画といえば、アニメか特撮でした。大人の映画は、俳優を写しただけで面白くないと思っていたので、凄いカルチャーショックですた。特に風景や建物を絵でも描くように、ペンキで塗り替える感覚には心底驚きました。 |
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項目名1 | 項目名2 | 項目名3 |
---|---|---|
三枝健起 |
@羅生門 |
子供というよりも、中学生のころの思い出しかありません。このような仕事に入ってからは観ていないので、映画創りの参考になっているといえば、中学時代の記憶をさかのぼるだけです。『生きる』の死の話と奥でバースデイの若者たちのグループのシーンは使用した思い出があります。 |
瀬々敬久 |
@天国と地獄 |
山崎努や木村功が演じた犯罪者は現世の罪と罰を背負った新時代の犯罪者、ラスコーリニコフを思い出させる。黒澤はドストエフスキーのロシア思想と映画に代表されるアメリカ式な工場制手工業を自らの血肉にしようとした、ある意味では大国的なモダニストではなかったのか。彼はそこに近代という価値転換を見出し、固執して生きた青年ではなかったのか。 |
仙頭直美 |
@生きる
|
痛快、勧善懲悪、若いころの彼の映画は男らしい映画だ。 |
塚本晋也 |
@七人の侍
|
やはり、ダイナミズムです。 |
荻生田宏治 |
@酔いどれ天使
|
『酔いどれ天使』が僕に教えてくれたのは、ニンゲンが意味を越えてそこに在るだらしなさだ。 |
原一男 |
@七人の侍
|
ダイナミックな映像創りと、語り口の綿密さと大胆さに感服しています。 |
原田眞人 |
@七人の侍
|
ムイシュキンの心を持った人がジョン・フォードになろうと挑み、独自の表現芸術を獲得した魅力。常にキャラクターと正対しリサーチを重ねて人物造型をすること、これが映画創りの基本であることを黒映画から学び、その実践に努めています。 |
望月六郎 |
@七人の侍
|
フィルムに写るのは感情と動きぐらいなのかもしれない。心理やましてや思想なんかをエモーションと共に焼き付ける事は難しい。なんと言ったって「活動」なのだから。そのことを誰よりも知っていたのが氏なのだろう。『スターウォーズ』がどうのこうの言われている時に『乱』のい騎馬戦を見て、これが「活動」だと溜飲が下がった。参考なる点ですが、あまりにも存在が違い過ぎてピンときません。 |
利重剛 |
@用心棒
|
モノクロ時代のものは全て好きですね。カラーでも『どですかでん』だけは妙に好きだけれども。 |
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