『ハン・ソロ』のあらすじから辿る冒険譚序曲

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米映画『ハン・ソロ/スターウォーズ・ストーリー』(以下、『ハン・ソロ』)は2018年に公開された「スターウォーズ正史」のスピン・オフです。
愛機ミレニアム・ファルコン号を駆って銀河を飛び回る一匹狼の運び屋(密輸も)。その名を轟かせるようになるまでの、波乱に満ちた雌伏期間を描いています。

 

正史で活躍するルーク・スカイウォーカー(マーク・ハミル)をはじめとする“ジェダイの騎士”たちはフォースなる特殊能力を使ってあらゆる試練に立ち向かって行きます。
しかし、ここでの主人公のハン・ソロ(オールデン・エアエンライク)はフォースを持たない、いわばただの荒くれ。その人間臭さに魅力を感じているファンも多いんですよね。
伝説の「ケッセルラン」をはじめ、若き日の“荒くれ”度を垣間見てみましょう!

 

(見出し)
『ハン・ソロ』のあらすじから辿る冒険譚序曲

 

(小見出し)
惑星コレリアからの脱走、そして帝国軍へ

 

(本文)
孤児として惑星コレリアで暮らす青年・ハンは、惑星の盟主のレディ・プレキシマに命じられるがままに窃盗等の“チンケな犯罪”を繰り返しては細々と生計を立てていました。
そうしたドン底生活からハンは、プレキシマの支配下から抜け出すべくあらかじめ隠しておいた盗品のスティンガー(スピードロッダーより、やや大型の高速クラフト)で、幼馴染みで恋人のキーラ(エミリア・クラーク)とともに宇宙駅にフルスピードで向かいます。

 

その構内はプレキシマの支配下を外れていて、改札を抜ければ自由が待っている…はずでした。ところが寸前でプレキシマの手下に発見されキーマは連れ戻されます。
やっとのことで改札を潜り抜けたハンは「必ず迎えにくる!」と誓いながらも、追手から逃れるために帝国軍の新兵募集の列へ。戦闘機パイロットを夢見つつ、募集の列で係官に名を聞かれたものの「ハンだ」としか答えられません。ハンは孤児のために苗字がなかったのです。

 

ただ係官も慣れたモノで、“独りだから”と「ソロ」という名を加えて、ここに『ハン・ソロ』が誕生したのでした。
そこからソロは、無限の銀河へと旅立って行ったのです!

 

(小見出し)
人生の師との出会い

 

(本文)
脱走から3年。パイロットを志願したものの、ソロは消耗部隊の歩兵としてある星の局地戦で泥水の中を這いつくばる生活を送っていました。帝国軍とはいえ、まだダースベイダーが君臨する直前の頃なので、常勝とは言えない状態だったのです。

 

そこで偽将校として軍に紛れ込んでいたベケット(ウディ・ハレルソン)と出会い、ソロは一味に加わる事となりました。
1度はベケットに「アイツは脱走兵だ!」と帝国軍人に密告されて、地下穴倉でウーキーの餌にされそうになったソロ。そのウーキー(チュー・バッカ。通称「チューイ」)と意思疎通に成功して逆に地下牢からの脱出に成功、その「しぶとさ」を見込まれての一味入りです。

 

ベケットの相棒(=愛人)のヴァル(タンディ・ニュートン)は反対したものの操縦士のリオの賛成もあって無事に帝国から盗んだ飛行艇でコアクシウムを盗む旅路に加わったのです。
この旅立ちのシーンは、メンバーの駒を揃えつつも同時にハンの成長も描くというロン・ハワード監督の手腕が光ります。ウエスタン的要素が現れてきて、ワクワクしてきます。

 

単に「自由を追い求める」だけの青年から、一人前のアウトローへの成長が芽生えてきたソロに、ますます期待が高まってくる場面なのです!

 

その後は、大列車強盗を企てたものの、寸前で失敗。ヴァルとリオは憤死しました。このミッションを通して、ソロは非常さと冷静さの重要性を学んだと言えるでしょう。併せて、ベケットからアウトローとしての“生き方”を見せてもらった、重要なシーンだったのではないかと思います。

 

(見出し)
【『ハン・ソロ』】伝説の「ケッセルラン」シーン登場!

 

(小見出し)
ファルコン号に乗り込んでハイパー・ジャンプを

 

(本文)
ベケットとチューイと出会ったソロでしたが、この列車強奪のクライアントであるドライデン・ボス(ポール・ベタニ―)に詫びを入れて善後策を“お伺い”を立てに彼のヨット型巨大宇宙船を訪れました。
そして、そこには驚いた事に生き別れになったキーラが! キーラはドライデンの参謀格のビジネスパートナーになっていたのでした。

 

ドライデンは「とにかくコアクシウムを手に入れろ」と指図。キーラをお目付け兼案内役にして、惑星ケッセルへと盗りに行く事となりました。

 

旧交を温める間もなく、ベケット、ソロ、チューイはキーラの手引きでランド・カルリジアン(ドナルド・グローヴァー)と引き合わされます。“足の速い船”がどうしても必要で、彼のミレニアム・ファルコン号を使うしか手立てがなかったのです。

 

トライデントから身を守るためには、この航海を無事に終えなければなりませんが隕石や星屑がルート上に散らばっていて上手くハイパー・ジャンプ(日本で言うところの「ワープ」)できる道が見つかりません。

 

そこを度胸1発、チューイとソロの腕で乗り越えて見事に乗り切ったのでした。
この航海こそ、エピソード4でオビ・ワンに雇われる交渉時に「速いのか?」と聞かれたソロが「バカ言っちゃいけねぇ、ケッセルランを12パーセクで飛んだ船だぜ!」と息巻いた伝説の韋駄天走りだったのです。ついでに記すと「帝国軍なんぞ、ぶっちぎりだ!!」と、売り込んでいました。

 

エピソード7でも、レイがソロとファルコン号を見て「この船が“ケッセルランを14パーセクで飛んだ”伝説のファルコン号?」と叫ぶと「12パーセクだ!!」とソロに訂正されてましたね。ついに、その元となる航海がこの作品で明らかになったのです。
ちなみにパーセクは距離の単位で、ピンとこない数値ですが、とにかくハイパー・ジャンプで短距離・短時間でぶっ飛んだという事を表しているのです。

 

このシーンを見られただけでも、筆者は「この作品を観た価値がある」と思いましたよ。ついでに言うと、このケッセルラン中に「なんだかイイ予感がしてきた」とソロが呟いていますが、このセリフはエピソード4でデス・スターのダストシュートにレイラ姫(キャリー・フィッシャー)とルーク、チューイと揃って閉じ込められて以来、随所にでてくる「イヤな予感がしてきた」の掛詞になっていて、そのシーンにも感動しました。

 

この辺は、脚本がエピソード5、6、7と同じローレンス・ガスタンなので伏線の張り具合が絶妙です。

 

この「ケッセルラン」でソロは一人前になり、ベケットとの対決、トライデントとの決着、そしてキーラとの再びの別離を経てアウトローの密輸屋として名を馳せていくのです。

 

残ったのは永遠の相棒となったチューイとファルコン号…。ネズミのD社が興行的に気に喰わなかった作品のようですが、筆者にはスターウォーズ史上なくてはならない一作として輝きを放っています!

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