黒澤明×名言 「仕事に悩む時」編

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仕事に悩む時

簡略に説明できれば、理解したと言える。

 

「難しく言うのがカッコいいように思うのは違うんじゃないか、と僕は思うんだ。本当に理解していればこそ、簡略に平明に語れるんでね。変に斜に構えてっていうのは説明してるというより、自己満足なんじゃないの」

 

映画は準備が大切だ。

 

「リハーサルに時間を使うのも、演技は一日薄紙一枚しかないけど、それを積み重ねていけば厚みがでるだろう。だから演技だけじゃなく、準備をキッチリやっておかなけりゃ、画面の奥行きは出ないよ。余裕がなけりゃ現場での膨らみを作れないじゃないか」

 

良いアイデアは、追い詰められて生まれるものだ。

 

「人間は弱いものだからね、平穏無事に生きているときは大して良い考えなんか出てこないのさ。ここを踏み外したら終わりと追い詰めらられた時、やっとこさっとこ頭がフル回転し始める。そんなら、最初から考えておけば良いのにねと思うけどね。グータラしているときは思いつかないものなんだ」

 

 

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分からなければ、皆の走っているほうに走れ。

 

「分からない時は、とにかく皆が走る方向にいっしょ走って、自分に出来ることからやってみればいい。時間が経てば客観的に冷静に見えてくる。そうなれば今自分は何をまずするべきか、分かってくるよ。臆病になっちゃいけない。あいつ何やってるんだと思われようが怒鳴られようがいいんだよ。そうやって仕事が身に付くのだから」

 

切り捨てるのも、選択の一つである。

 

「全体があって部分がある、一箇所に固執しすぎてもいけない、バランスとハーモニーが大切だから、いっそ切り捨てなければいけないってこともある。止めるとか、忘れるのも大切な選択肢の一つだよ」

 

いっそのこと、無人島にでも行けば、人間正しい判断が出来るようになるかもしれない。

 

「疲れるよね、想像力をのびのびと働かせたいと思ったら、いっそのこと孤立無援の離れ小島にでも行って、何の情報も入らない方が新しいアイデアが湧き出るのじゃないかと思う」

 

お客はどんなに苦労してるかなんて、知ったこっちゃない。

 

「苦労して撮影したところは、ついつい思い入れがあって大切に思ってしまう。スタッフの苦を見ていたら、なおのことで編集で切り捨てられなくなる。

 

でもそれじゃ駄目だ。身を切る重いでもバッサリ切らなくちゃならないこともある。お客とは、どんなに現場で苦労したかなんて知ったこっちゃない。

 

スクリーンに映ったものだけが全て。映画で飯食ってるんだったら、感情におぼれちゃプロじゃないよ」

 

 

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知ったかぶりをするなんて、時間の無駄だ。

 

「知らないことの方が、知ってることより多いに決まってるんだから、恥ずかしがらずに聞くのが得策だ」

 

昔はどうだったのか、考えてみるといい。

 

「困ったとき、もしサイレントで撮ったらどうなるのか?考えてみると良いアイデアが出てくるんだ」

 

じっと座ってメモばかり取っていても前進しない。

 

「机上の空論と言うだろう、映画は全てが映像として映るんだから、具体的じゃないと困る。

 

統計的にとか、仕組みとしてはこうなりますと言われてもね、よーいスタートって言った時どうなんだってことなんだよ」

 

誰でも最初は人の真似からはじまる。

 

「若い映画監督に、この映画のここは黒澤さんの真似をしたと告白されることがあるけど、それは至極当たり前のことだと思うよ」

 

脚本執筆は、山登りに似ている。

 

「頂上を見ると辛くなるから頂上を見ないようにと思い、足元を見てコツコツ歩いていくんだ。

 

そのうち風が変わってきて、もうすぐ峠だと感じる。
そういうところで面白い展開が起こってまたやる気が出る。そんなことを繰り返していると、頂上にたどり着くんだけどね」

 

着るものには、人生や性格がでるんだ。

 

「映画の登場人物には、それぞれの生い立ちや性格があるんだ。どんな境遇で育ってきたのかとか、仕事は何なのかとかなんてこともあるしね。
派手な性格だとか地味だとか、考えられることは山ほどあるはずだよ」

 

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