黒澤明「一番美しく」は単純なプロパガンダ映画ではない!

スポンサーリンク

一番美しく

黒澤明  一番美しく

 

軍需工場でのく女子挺身隊の活動をセミドキュメンタリータッチで描く。

 

挺身隊員を演じる女優陣から、職業的なにおいや、羞恥心を取り去るため、日本光学の寮に入れ、駆け足の訓練から始め職場にも配慮し工員たちと同じ労働を割り当てた。

 

その甲斐あって、本物の挺身隊員と同様の自然な演技が引き出せたが、連日8時間以上の労働をこなした女優陣からは不満の声があがり、その代表として黒澤に食ってかかったのが、後に黒澤夫人となる矢口陽子だった。

 

2人はこの映画で恋仲になったと誤解されているが、実際はもっと後で、プロデューサーの森田信義の仲介で交際を始めた。

 

戦意高揚の為に撮られた作品であるが、挺身隊員が一心不乱に働く姿は、デフォルメされ不気味にさえ感じ、とても戦意高揚になるとはおもえない仕上がりである。

 

しかしこの姿は後の「我が青春に悔いなし」の原節子に引き継がれ、男女という性別を超越した一人の人間として描かれることになった。※4

 

スポンサーリンク

 

黒澤明が恋をする為に作った作品?

時代劇評論家で黒澤フリークの春日太一氏が、『一番美しく』について、黒澤が奥さんと恋する為に制作したのでは?とも言っています。

『一番美しく』は黒澤のようなホモソーシャルの塊のような人間が、女性しか出ない映画を作ったということが衝撃であった。黒澤のこの作品を指して、「私の一番可愛い作品です」って言っているんですね。

 

この映画は完全に黒澤が奥さんと恋する為にやってますよね。(主人公が後の黒澤夫人)
この映画は、戦意高揚映画で、国策映画ですよね。もともと海軍が『姿三四郎』を見て、こいつにゼロ戦に関する映画を作ってほしいと依頼があって、黒澤はそういうの大好きなんで、すごい喜んだが、結局、海軍に映画で使えるゼロ戦が残っていなくて、ボツになって、それに代わる映画を何か作れないかということでこれになったと。

 

内容的に完全にスポコン映画なんだけど、女性にやらせることによってスポコンの汗臭さを感じさせないというか、黒澤自身が恥ずかしくなくやっているのではないかと思うんですよね。

 

歌舞伎役者は男が女形になるから、ある種、ロマンチックなセリフを易々と云えたりするようなあの感じですよね。黒澤自身が女装してやってるような。普通にやればこれは男たちのドラマなんですよね。

 

黒澤の特徴としては女優が嫌いなんだろうなぁという、この映画をドキュメントタッチで撮ろうとしたことは、黒澤のホモソーシャル感ですよね。

 

普通の女優芝居を女優にさせないと。どこか宮崎駿さんに近い考え方なんだろうけど、気取りであったり、芝居気であったり、化粧の臭いであったり、そういった自意識を取り払って、本来のただの少女も戻してしまおうと思ったということで、彼女たちを本当の工場の寮に入れて、その生活を送らせたらしいんです。

 

だから女優さんから女優っぽさをどれだけ排除するかって作業を撮影前の段階でやっていたわけ。
それをやることによって、本来の彼女たちの魅力が浮かび上がってきて、黒澤にとっての「可愛い映画」になったというわけです。

 

そして女優の臭いを排除することによって、セミドキュメントタッチにすることによって、わざとらしい戦意高揚演出を排除できるという利点も黒澤明の中にあったのではないか。
つまり戦争から離れて物語を描けるのではないかと。この映画だけですからね、ここまで黒澤が女性をフューチャーした映画というのは。だからすごく大きな理由があると思うし。

 

『一番美しく』っていうタイトルがいいですよね。黒澤ってキャッチコピーの才能がある人ですよね。タイトルとコンセプトを2行で言ってしまうという。映画の内容を1行で語れない映画はダメだという伊丹万作流の教えを黒澤は受け継いでいますね。

 

スポンサーリンク

 

あらすじ

 

兵器に搭載される光学機器を生産している東亜光学平塚製作所では、戦時非常態勢により生産の倍増を計画発令する。

 

男子工員は通常の2倍、女子工員は1.5倍という目標数値が出されるが、女子組長の渡辺ツルを筆頭とする女子工員たちは、男子¥の半分ではなく、2/3を目標にしてくれと懇願、受け入れられる。

 

奮発する女子たちだが、目標達成は生易しくは無く、一時的に上昇した生産高は疲労や怪我、苛立ちから来る仲たがい等により下降する。

 

しかし、女子工員たちの寮母や工場の上司たちの暖かい協力、そしてさまざまな問題を試行錯誤しながら解決し、更に結束を固めた彼女たちの懸命な度欲は再び報われ始める。

『一番美しく』各サイトレビューまとめ

Yahoo!映画 3.5点

黒澤明,一番美しく 評価件数 38件

 

・今どきの女子とちっとも変わらない
・戦時下の軍需工場。そこで朝から晩まで働く女学生たちの奮闘振りをひたすら描く映画。
・美し過ぎて嫌気がさす「國民映画」
・日本人の精神的傾向=集団的共同体意識が浮かび上がってくる
・貴重な日本プロパガンダ映画であり反戦映画
・田舎の親たちを安心させるための作品
・戦意高揚作品っぽくなるのは致し方ない
・国策映画には違いないんですが…
・こういう映画を観ると、日本人は変わってないんだな・・・って、つくづく思う。
・活劇のないドラマだが黒澤の確かな編集力を感じる映画だ
・黒澤監督作には珍しく女性が主人公

映画.com 3.6点

黒澤明,一番美しく 2人

 

・要は反吐がでるようなプロパガンダ映画。
・普遍的な労働する人たちの素晴らしさを描かんとする、黒澤さんの優しさを感じました。

 

アマゾンレビュー 4.4点

黒澤明,一番美しく  9件のカスタマーレビュー

 

・素晴らしい青春映画
・これぞ父祖の血の流れ通へる土…
・女性集団(女子挺身隊)を描く唯一の黒澤作品
・時代を超えて、今でも十二分に楽しめる作品
・誤解を恐れずに言えば、美しい映画です。
・「撃ちてし止まむ」「情報局選定国民映画」の文字が出てくる、黒澤明監督の作品では唯一の戦意発揚映画。
・純粋に娯楽映画、青春映画としてつくられた感じ
・責任感、使命感、自己犠牲の精神
・日本国民は渡辺青年隊長(矢口陽子)の爪の垢を煎じて飲むべし。

 

フィルマークスレビュー 3.2点

黒澤明,一番美しく  214件のカスタマーレビュー

 

・あの開かずの踏切の開かせない、という威圧感が既に健在で良き。
・黒澤明による唯一の反骨的な戦意高揚映画。
・終わり方結構な胸グソの悪さ
・黒澤映画の中では、かなり評価は低い方
・国策映画として、あえて女工の話を選んだことに黒澤明の美学を感じる。
・ありきたりなプロパガンダで終わらない後の巨匠の魂を感じる
・当時の厳しい検閲や国への反骨精神を、うまく隠しながらも表現している。
・思ったより悪くなかったですね。

 

個人レビュー 3.7点

黒澤明,一番美しく 
この作品は、プロパガンダ映画であるわけですが、決してそれに迎合していない作品に仕上がっているのではないでしょうか。

 

ドイツのナチス産のプロパガンダ映画とはまったく違う。戦争を通じて、そのころの日本人の強さと心の美しさが描かれている。
女性の目から戦争を見た映画としても素晴らしい内容になっています。

 

それにしても、この主人公の女性の責任感の強さや真面目さなどは、現代人の我々が学ぶべきことが多々あります。
あまり評価されない作品ですが、この映画が黒澤作品で一番好きという声もよく聞きます。

 

企画:伊藤基彦
製作:宇佐美仁
脚本:黒澤明
撮影:小原譲治
美術:安部輝明
照明:大沼正喜
音楽:鈴木静一
助監督:宇佐美仁 堀川弘通 
出演:矢口陽子 志村喬 入江たか子 菅井一郎 清川荘司 谷間小百合

ウィキペディア フリー百科事典「黒澤明」より引用
河出書房新社発行 「黒澤明 生誕100年総特集」より引用
脚注
※1 文藝春秋発行 小林信彦著書 「黒澤明という時代」より抜粋
※2 やのまん発行 塩澤幸登著書 「黒澤明 大好き!」より抜粋
※3 毎日新聞社発行 堀川弘通著書 「評伝 黒澤明」より抜粋
※4 河出書房新社発行 「黒澤明 生誕100年総特集」より抜粋
※5 文藝春秋発行 田草川弘著書 「黒澤明VSハリウッド トラ・トラ・トラ!その謎のすべて」より抜粋

 

このエントリーをはてなブックマークに追加   

 

U-NEXT で黒澤明監督「一番美しく」を観る(31日間無料)

 

 

前の作品 「姿三四郎」 デビュー作にして斬新なスローモーションの使い手!

 

次の作品 「続姿三四郎」は黒澤明自信はあまり乗り気ではなかった作品

 

 

黒澤明×姿三四郎 デビュー作にして斬新なスローモーションの使い手!

黒澤明,姿三四郎 黒澤明の監督デビュー作である。富田常雄の小説の前半部分から、姿三四郎と恋人の乙美と南小路という、子爵の令嬢の三角関係を描いたメロドラマ的エピソードをのぞき、柔術を通じて人間的に成長していく三四郎の姿を描いている。師匠・矢野正五郎と三四郎との子弟関係が物語の中心となっている。師匠と弟子という、後の黒澤...

≫続きを読む

黒澤明「一番美しく」は単純なプロパガンダ映画ではない!

黒澤明,一番美しく 軍需工場でのく女子挺身隊の活動をセミドキュメンタリータッチで描く。挺身隊員を演じる女優陣から、職業的なにおいや、羞恥心を取り去るため、日本光学の寮に入れ、駆け足の訓練から始め職場にも配慮し工員たちと同じ労働を割り当てた。その甲斐あって、本物の挺身隊員と同様の自然な演技が引き出せたが、連日8時間以上の...

≫続きを読む

「続姿三四郎」は黒澤明自信はあまり乗り気ではなかった

黒澤明,続姿三四郎 「姿三四郎」のヒットに気をよくした東宝は、黒澤に続編を作ることを命じた。続編を作ることにあまり乗り気でなかった黒澤は、無理やり創作意欲を駆り立てての撮影となった。そのため、主人公の三四郎よりも適役の檜垣兄弟に対する比重が大きくなり、アンバランスな作品になったしまったと言う。しかしクライマックスの雪原...

≫続きを読む

黒澤明「わが青春に悔いなし」 新しい女性像を原節子が好演!

黒澤明,我が青春に悔いなし 戦国時代版のジャンヌ・ダルクを構築していたが、GHQの要請にも沿った民主主義啓蒙映画「わが青春に悔いなし」に取り組むことになった黒澤明。敗戦直後、35歳の黒澤はこうノートに記した。「新しい時代は新しい人間の創造を求めている。我々は新しい時代の新しい課題を解決すべき、新しい人間としての自己形成を目指さ...

≫続きを読む

黒澤明「素晴らしき日曜日」 映画史上最高に美しいシーンと巨匠が絶賛!

黒澤明,素晴らしき日曜日 43年、黒澤は小学校時代の同級生でシナリオライターの植草圭之助と銀座の書店で偶然に再会した。その後、一緒に映画を作ろうということになり、D・W・グリフィスの名作「素晴らしき哉人生」より着想を得て実現したのが本作品。グリフィスの映画では、若いポーランド人の2人が住宅難で結婚できない。そこで空き地を借り...

≫続きを読む

黒澤明「酔いどれ天使」 三船敏郎鮮烈デビュー。イケメンが過ぎる!

黒澤明,酔いどれ天使 黒澤明と三船敏郎の黄金コンビ第一作。肺結核の冒された若いやくざと、彼を治療しようとする町医者の交流を描いた作品。志村喬演じるの老練な男と三船敏郎演じる未熟な若者はそのまま「野良犬」の先輩後輩という子弟関係に繋がっている。本来この作品の主人公は医師に真田役の志村であるが、完全に準主役の三船が主役を食っ...

≫続きを読む

三船敏郎×黒澤明「静かなる決闘」 梅毒が感染してしまった医師の苦悩を描く秀作!

黒澤明,静かなる決闘 黒澤明が東宝以外で始めて撮った作品がこの「静かなる決闘」です。この映画での黒澤の狙いは、爆発的な三船敏郎の人気が、やくざ役の方に走っていくのを止めようとしたと自伝で語っています。ここで倫理観の強いインテリの役を演じさせることで、三船に役者としての成長を期待しての起用だったという。大映側から批判された...

≫続きを読む

刑事映画の傑作「野良犬」  黒澤明×三船敏郎コンビ最初の傑作

黒澤明,野良犬 「メグレ警視」シリーズなどの探偵小説で有名なフランスの社会派作家、ジョルジュ・シムノンの作品が大好きな黒澤が、シムノン風に撮ってみようかと脚本に着手。だが、なかなか書けずに四苦八苦していたところ、巡査がピストルを盗まれたという実話を聞き、それを小説風に書き上げた作品がこの「野良犬」。しかしその後それ...

≫続きを読む

黒澤明×三船敏郎「醜聞(スキャンダル)」は、マスコミへの怒りと恐怖から作られた!

黒澤明,醜聞 親友である松竹の監督木下恵介の仲介で、始めて大船撮影所で監督した作品。つねづねジャーナリズムの強引な取材を不愉快に思っていた黒澤が、ある日電車の中刷り広告のセンセーショナルな見出しに呆れ返った。言論の自由が当然だが、その自制のない逸脱をどうするのか?こんなことが赦されてはならない、今のうちに叩き潰さ...

≫続きを読む

黒澤明「羅生門」 手柄は三船敏郎ではなく、カメラマン宮川一夫!

黒澤明,羅生門 黒澤明「羅生門」ここが凄い!ポイントイタリアのヴェネツィア国際映画祭金獅子賞受賞!アメリカのアカデミー特別賞を受賞!日本映画が初めて国際的に認められた作品!欧米コンプレックスを抱えていた当時の日本人に光を与えた!モノクロの映像美が凄い!ホースの水に墨を混ぜて迫力ある雨のシーンを撮った!カメラマン宮川...

≫続きを読む

黒澤明「白痴」の見どころは原節子、森雅之、三船敏郎、久我美子の演技合戦!

黒澤明,白痴,森雅之,三船敏郎 黒澤明「白痴」ここが凄い!ポイント黒澤のドストエフスキーへの愛が凄い!上映時間を巡って出た名言が凄い!役者の演技が凄い!特に久我美子の演技が凄い!ディレクターズカット版の長さが凄い!ロシアでの評価が高い!ドストエフスキーの小説の舞台を札幌に移し、黒澤が全身全霊をかけて作ったといわれる作品。作品は第一...

≫続きを読む

黒澤明「虎の尾を踏む男達 」は能を洋楽風コーラスにアレンジした秀作!

黒澤明,虎の尾を踏む男達 完成後7年間もお蔵入りとなっていたいわくつきの作品である。東宝の前身であるP・C・Lに入社した黒澤は、主に山本監督につき榎本健一(エノケン)主演の喜劇映画の助監督を数多く務めた。その現場で喜劇の撮り方や役者の使い方を、自分のものとして習得したことが見られる作品。本作オリジナルの登場人物として、強力役...

≫続きを読む

黒澤明「生きる」は「七人の侍」と並ぶ最高傑作!

黒澤明,生きる 黒澤明「生きる」ここが凄い!ポイント志村喬の演技が凄い!雪のシーンの撮影が凄い!展開が凄い!お通夜での大人数によるシーンが凄い!真正面から官僚主義批判をしている!この映画のテーマは永遠に古くならない!4年ぶりに東宝に戻って監督した作品。「七人の侍」と並んで黒澤の最高傑作と評価されている作品である。ト...

≫続きを読む

黒澤明「七人の侍」は百姓の描き方が100点!大衆のバカさを百姓で表している?!

黒澤明,七人の侍 黒澤明「七人の侍」ここが凄い!ポイント綿密な時代検証が凄い!撮影技術の革新が凄い!リメイク作品が多い!撮影期間が凄い!後世への影響が凄い!練りに練られた脚本が凄い!世界映画史上、他の映画に最も影響を与えている作品である。黒澤作品並びに、日本映画、世界映画の最高傑作と評され、国内外で60年の月日を経て...

≫続きを読む

黒澤明「生きものの記録」 三船敏郎が狂気の老人を怪演!音楽担当早坂文雄の遺作にな...

黒澤明,生きものの記録 初期の黒澤作品のほとんどの音楽を担当し、黒澤の親友として良き相談相手にもなっていた早坂文雄。彼は昭和29年に行われたアメリカのビキニ環礁に核実験で、死の灰が予想よりも遠くまで飛び散り、第五福竜丸が被災したときに、「こう命をおびやかされちゃ、仕事もできねぇ」と黒澤に言ったという。その言葉が強く心に残っ...

≫続きを読む

「蜘蛛巣城」黒澤明×三船敏郎 シェイクスピア映画の最高峰

黒澤明,蜘蛛巣城 黒澤明「蜘蛛巣城」ここが凄い!ポイントシェイクスピア「マクベス」を時代劇にした!能の様式美を演出に取り入れた!山田五十鈴の演技が凄い!危険極まりない撮影裏側が凄い!現代演劇の巨匠が絶賛!シェイクスピアの「マクベス」をそのまま戦国時代に置き換えて映画化。原作の戯曲にメイクや演出など、能の表現が織り交ぜ...

≫続きを読む

「どん底」黒澤明×三船敏郎 ミュージカル映画顔負けのラストが凄い!

黒澤明,どん底 黒澤明「どん底」ここが凄い!ポイント喜劇役者たちの演技が凄い!撮影期間が異例の短さ!ミュージカル映画顔負けのラストが凄い!マルチカム撮影が凄い!ゴーリキーの戯曲が時代劇に舞台を江戸時代の棟割長屋にした以外は、ゴーリキーの戯曲を忠実に再現して映画化した作品。「生きものの記録」で実験的に使用したマルチカ...

≫続きを読む

「隠し砦の三悪人」は無敵の三船敏郎が初めて出てきた黒澤明作品!

黒澤明,隠し砦の三悪人 黒澤明「」ここが凄い!ポイント黒澤映画ナンバーワンの娯楽性!スターウォーズの元ネタ!実は太平と又吉が主役!製作費の増え方が凄い!ベルリン国際映画祭で監督賞を受賞!「隠し砦の三悪人」は黒澤初のワイドスクリーン作品。隠し砦から黄金とお姫様を連れ、的中突破を試みる武将と2人の百姓を描いた痛快娯楽時代劇の傑...

≫続きを読む

黒澤プロ第一弾「悪い奴ほどよく眠る」はあえて社会派サスペンスを描いた!

黒澤明,悪い奴ほどよく眠る 黒澤明「悪い奴ほどよく眠る」ここが凄い!ポイント汚職というテーマの普遍性!シナリオの凝り具合が凄い!結婚式のシーンの映画的テクが凄い!ゴッドファーザーで真似された!黒澤作品ナンバーワンの悲劇的結末!「隠し砦の三悪人」の予算オーバーが原因で、黒澤を辞める方向に持っていった東宝だったが、儲かる映画を作る...

≫続きを読む

黒澤明「用心棒」 三船敏郎の殺陣の動きはラグビーの動きを参考にした!

黒澤明,用心棒 黒澤明「用心棒」ここが凄い!ポイント殺陣が凄い!面白さが凄い!「荒野の用心棒」でリメイクされる!ヴェネツィア国際映画祭で三船敏郎が主演男優賞を受賞!カメラマンが世界のミヤガワ!黒澤映画を代表するエンターテイメント作品黒澤が理屈ぬきに面白い、楽しい映画を作りたいと思って撮ったのがこの作品。ダシール・ハ...

≫続きを読む

黒澤明作品の最大ヒット作「椿三十郎」 三船敏郎の殺陣は神レベル!

黒澤明,椿三十郎 黒澤明「椿三十郎」ここが凄い!ポイント黒澤映画で最大のヒット!立ち回りがリアル!ラストの三船VS仲代がすごい!今みても笑えるシーンがある!セリフから日本語を勉強できる!用心棒のコミック版「用心棒」の続編だが、原作自体は山本周五郎の小説「日々平安」なので、前作とは何のかかわりもない。主人公・三十郎の苗...

≫続きを読む

黒澤明×三船敏郎「天国と地獄」は総合力の天才であることを証明する映画!

黒澤明,天国と地獄 黒澤明「天国と地獄」ここが凄い!ポイントサスペンス映画でありながら何度見ても面白い!徹底した現場検証と綿密な構成黒澤は総合力の天才!誘拐に関する刑法改正のきっかけになった映画アマゾンのレビューが凄い!娯楽映画かつヒューマンドラマエド・マクベインの小説「キングの身代金」を下敷きにしている。が実際はほん...

≫続きを読む

三船敏郎×黒澤明の最後の作品 「赤ひげ」 加山雄三、田中絹代他

黒澤明,赤ひげ 山本周五郎の「赤ひげ診療譚」の映画化で、最後の黒澤・三船コンビの作品である。原作は江戸時代に幕府が設けた貧しい病人たちの為の医療機関・小石川診療所の所長で赤ひげと呼ばれる医師・新出去定を主人公に、いくつかのエピソードから構成されたオムニバス小説だが、黒澤はひとつの流れとして捉え、新参の弟子・保本登が...

≫続きを読む

黒澤明初のカラー作品「どですかでん」は色彩を楽しむ映画である!

黒澤明,どですかでん 山本周五郎「季節のない街」を映画化黒澤は木下恵介、市川崑、小林正樹らの監督に呼びかけ、低予算で映画を撮るというコンセプトのもと、「四騎の会」という芸術家集団を結成。この「四騎の会」制作の、最初で最後の作品が「どですかでん」である。思ったような色が出せないという理由で、長い間カラーで撮ること拒否してき...

≫続きを読む

黒澤明は運を持っている!「デルス・ウザーラ」でアカデミー賞を獲得!

黒澤明,デルス・ウザーラ 白痴を撮った後、ロシアの探検家ウラジーミル・アルセーニエフの探検記を「エゾ探検記」として企画したが、結局その時は流れてしまった。20年後、ソ連から黒澤に一本撮ってみないか?と依頼があり、70ミリの大作映画として完成したのがこの「デルス・ウザーラ」である。シベリアの密林に住む猟師と探検隊隊長の友情と師...

≫続きを読む

勝新太郎と大揉めした「影武者」 黒澤明は若山富三郎にもオファーを出していた!

黒澤明,影武者 武田信玄の影武者となった男の、数奇な半生を描いた時代劇。予算の問題で制作が難航したが、黒澤を敬愛する「ゴッドファーザー」のフランシス・フォード・コッポラと「スターウォーズ」のジョージ・ルーカスが、20世紀フォックスに声をかけて予算が確保された。勝新太郎VS黒澤明当初、信玄と影武者の2役は勝新太郎が演...

≫続きを読む

黒澤明の集大成「乱」 仲代達矢演じる秀虎は黒澤自身である!

黒澤明,乱 黒澤明のライフワークシェイク・スピアの「リア王」を下敷きに、老城主と3人の息子たちの愛憎渦巻く争いを描いた戦国スペクタクル。黒澤はこの作品を自分の「ライフワーク」と位置づけ、また「人類への遺言」でもあるとしている。仲代達也演じる主人公の一文字秀虎は、黒澤自身を色濃く反映させたキャラクター設定であると...

≫続きを読む

黒澤明「夢」はスピルバーグとジョージルーカスの援助で撮影に漕ぎつけた!

黒澤明,夢 カンヌ国際映画祭でオープニング上映された作品夢を題材にした8つのエピソードからなる、ファンタスティックなオムニバス映画。黒澤を崇拝するスティーブン・スピルバーグとジョージ・ルーカスが援助に乗り出し、撮影に漕ぎつけた。そのため、配給権がワーナー・ブラザーズ渡ってしまい、日本では自由に上映することが出来...

≫続きを読む

黒澤明「八月の狂詩曲」はリチャード・ギアが出演!原爆投下謝罪のシーンは欧米で批判...

黒澤明,八月の狂詩曲 村田喜代子の原作「鍋の中」を元にした反核映画。原爆投下で主人公の夫が亡くなったことについて、リチャード・ギア扮するクラークが主人公に謝罪するシーンでは欧米からの批判もあった。しかし黒澤作品で描かれる木々の美しさと雨のシーンは圧倒的であり、本作のラストでもその魅力が出ている。ヴィム・ヴェンダースとの対...

≫続きを読む

黒澤明の最後の作品 「まあだだよ」

黒澤明,まあだだよ 作家・内田百聞とその門下生たちとの交流を描いたヒューマンドラマ。当初は3時間近い長尺の作品になるはずであったが、徹底的にリハーサルを重ねていった結果、2時間14分の作品に仕上がった。それだけに段取りが良すぎるところが鼻に付くところもあるが、その内容の濃さには感嘆せずにはいられない。黒澤は脚本段階から...

≫続きを読む