黒澤明作品の最大ヒット作「椿三十郎」 三船敏郎の殺陣は神レベル!

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椿三十郎

黒澤明「椿三十郎」ここが凄い!ポイント

黒澤映画で最大のヒット!
立ち回りがリアル!
ラストの三船VS仲代がすごい!
今みても笑えるシーンがある!
セリフから日本語を勉強できる!

 

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用心棒のコミック版

 

用心棒」の続編だが、原作自体は山本周五郎の小説「日々平安」なので、前作とは何のかかわりもない。

 

主人公・三十郎の苗字が椿に代わっているが同一人物である。

 

前作の原作小説がハード・ボイルドだったのに対して今回は人情話にかわっており、前作よりも喜劇的要素が強くなり、三十郎もよりコミカルに描かれている。

 

この作品は前作「用心棒」を超えて、黒澤作品最大のヒットとなった。

 

黒澤は「七人の侍」を皮切りに時代劇にリアルさを求めていた。

 

用心棒」そして本作ではさらにリアル志向が高まり、立ち回りの場面で、刀がぶつかり肉が斬れる激しい効果音、飛び散る血飛沫が描かれた。

 

こういったリアルな描写を真似たチャンバラ映画が以後、続出することとなった。

 

2007年に、角川春樹製作総指揮、織田裕二主演でリメイクされた。
オリジナルの黒澤チームの脚本を一切加筆訂正せず、そのまま使用している。

 

角川は「興行収入40億円は最低ライン、そこからどれだけ伸ばせるかが勝負」語っていたが、結果は11億円に終わった。

 

関連ページ  黒澤明の生涯 〜用心棒と椿三十郎

 

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セリフに散りばめられた豊富な日本語のボキャブラリィ

 

「そいつは眉唾物だな。」

 

冒頭のシーンで椿が言ったセリフ。眉唾物って何?すぐに一時停止して調べる。

 

「岡目八目なんたらかんたら〜」 岡目八目って何?すぐに調べる。

 

こんな小粋な日本語たちがよく出てくるので、「ヤバい」「かわいい」の一語ですべて片付く現代においては、凄く勉強になるのではないでしょうか。黒澤脚本は日本語が洗練されていますので。

 

「仁義なき戦い」を見たあと、無性に広島弁を喋りたがるのといっしょで、この映画を観たあと、胡散臭い仕事の話があると、「それ眉唾物やな」って言ってました 笑 影響されて。

 

 

用心棒での三船の殺陣も金メダル級ですが、この「椿三十郎」での殺陣は、神が降臨したレベルではないでしょうか。冒頭の立ち回りの迫力は何度も観てしまいます。

 

けっして派手な殺陣ではありませんが、ちゃんとしっかり映画的なエンターテイメント性あふれる立ち回り。かつリアルなケンカの現場を見ているよう。

 

計算しつくされているはずなのに、超自然。
三船敏郎が社殿からガガガッっと出てくるところの気持ちよさは圧巻。見ていてすっごく気持ちいいんですよね。

 

あと、この作品は積極的に笑いを取りにいってる唯一の黒澤作品ではないでしょうか。他の作品も「七人の侍」の菊千代など、ユーモラスなシーンはもちろん存在するのですが、この「椿三十郎」は編集の仕方で笑わせにいってますから。もう積極的です。

 

笑いどころやユーモアのセンスは、アートやファッションよりも、時代に翻弄される宿命であると思うので、正直、黒澤作品で出てくるユーモアのセンスは、微笑ましくはありますが、実際に笑えたりはしないので、ちょっと観ていてしんどい時があります。なんせ半世紀も前ですから、当たり前なんですけど。

 

でも、この作品はいい感じで笑わせてくれるんですよね。

 

この映画の一番すごいところはそこではないでしょうか。
時代を超えて、笑える映画ということ。

 

ということで、個人的見解ではこの「椿三十郎」は、高品質コメディ映画となりました。

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あらすじ

 

黒澤明,椿三十郎

 

真夜中。森の中の老廃した社で、侍たちがひそひそと密談をしている。

 

1人の若者が仲間に言う。
「次席家老の汚職を城代家老に告げたが、全然とりあってくれない」
侍たちの失望する顔。

 

だが「大目付に話してみると、「いっしょに立とう」と言ってくれた!」
沸きあがる侍たち。

 

そのとき、奥の部屋からあくびをしながら、流れ者の浪人が出てくる。

 

浪人は奥の部屋で話を聞いていたようで、
「大目付のほうこそあぶない」と言う。

 

その予想が的中、もうすでに大目付の手下が社を取り囲んでいた。
この浪人が一人で片っ端から大目付の手下どもをかたずける。

 

 

現状を把握した侍たちであったが、あくまでも命がけで大目付に立ち向かおうとする。
そんな愚直な若侍達に一旦は愛想を付かした浪人であったが…

 

製作:田中友幸 菊島隆三
脚本:菊島隆三 小国英雄 黒澤明
原作:山本周五郎「日々平安」
撮影:小泉福造 斉藤孝雄
美術:村木与四郎
照明:猪原一郎
音楽:佐藤勝
助監督:森谷司郎 出目昌伸 松江陽一 
出演:三船敏郎 仲代達矢 加山雄三 入江たか子 団令子 田中邦衛

 

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前の作品 「用心棒」 三船敏郎の殺陣の動きはラグビーの動きを参考にした! 

 

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映像の世紀を駆け抜けた壮絶な人生がヤバい… 〜黒澤明の生い立ちから晩年まで〜 

 

ウィキペディア フリー百科事典「黒澤明」より引用
河出書房新社発行 「黒澤明 生誕100年総特集」より引用
脚注
※1 文藝春秋発行 小林信彦著書 「黒澤明という時代」より抜粋
※2 やのまん発行 塩澤幸登著書 「黒澤明 大好き!」より抜粋
※3 毎日新聞社発行 堀川弘通著書 「評伝 黒澤明」より抜粋
※4 河出書房新社発行 「黒澤明 生誕100年総特集」より抜粋
※5 文藝春秋発行 田草川弘著書 「黒澤明VSハリウッド トラ・トラ・トラ!その謎のすべて」より抜粋

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