黒澤明「七人の侍」ここが凄い!ポイント
綿密な時代検証が凄い!
撮影技術の革新が凄い!
リメイク作品が多い!
撮影期間が凄い!
後世への影響が凄い!
練りに練られた脚本が凄い!
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世界映画史上、他の映画に最も影響を与えている作品である。
黒澤作品並びに、日本映画、世界映画の最高傑作と評され、国内外で60年の月日を経ても評価され愛される、まさに映画のマスターピースである。
綿密な時代検証の上で書かれたシナリオを元に、黒澤が初めて複数のカメラで撮影するマルチカム方式と、望遠レンズによるパン・フォーカスを採用。
脚本、撮影技術、現場での妥協のない演出が見事に絡み合い、観るものを掴んで離さない突出した作品となっている。
この「七人の侍」以前は、複数の主人公が活躍する場合、最初から主人公たちが一緒に行動している設定が多かった。
しかし本作品では、まず仲間探しから始まるところに面白さがあり、後に多くの映画が、その構成を真似ている。
アメリカ映画だけを例に挙げても、
ジョン・スタージェス監督「荒野の7人」、
スティーブン・カーヴァー監督「高層プロフェッショナル」、
ジミー・T・ムラカミ監督「宇宙の7人」
などがある。
ひとひねりした作品としては、ロバート・オルドリッチ監督「特攻大作戦」、リチャード・ブルックス監督「プロフェッショナル」、テレビシリーズの「スパイ大作戦」などがある。
「七人の侍」について もっと詳しく見る
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ハリウッドの巨匠に多大な影響を与えた金字塔
当時の映画7本分の製作費がかけられ、撮影期間も一年間。
大ヒットを記録し、世界でも評価されヴェネチア国際映画祭銀獅子賞を受賞。
その後、ハリウッドでもリメイク。今では巨匠とされている映画監督たち、
スティーブン・スピルバーグ
ジョージ・ルーカス
マーティン・スコセッシ
フランシス・コッポラ
などに多大な影響を与えた作品。
最後の野武士との合戦は、何度も見てしまいます。
プライベート・ライアンの冒頭の20分のノルマンディー上陸のシーンを見たくなるのといっしょの感覚です。
ま、そのシーン創りのインスピレーションは、この作品の雨の合戦シーンなんで、当たり前につながってきた感覚なのかもしえません。
スピルバーグ監督は、新しい映画に取り掛かる前には、必ずこの「七人の侍」を見るそうです。
「タクシードライバー」のマーティン・スコセッシ監督は、少年時代に名画座に通い、何度もこの作品見て、カット割りを勉強したと言います。
志村喬演じる島田官兵衛が、前半で罪人を切るシーンは、映画史上初めて人が死ぬ瞬間をスローモーションで魅せたシーンとして有名ですね。
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百姓の描き方が100点
長い作品なんですが、カットとセリフに無駄がないんですよね。だらだらと長いのではなく、しっかり意味あるカットを積み上げてこの長さなんで、見ている間にどんどん引き込まれていきます。
しかし。個人的には野武士とのアクションが若干長く感じました。クライマックスの雨のシーンの前の、五郎兵衛と与平が死ぬ合戦はもうちょっとあっさりでもよかったかなと思います。
農民の描き方がリアリティと演劇性のバランスがちょうどよくて好きです。百姓に対して可哀そうだなと感情移入するところもあれば、怯えんともっと冷静になってちゃんと考えろよ!とムカついたりするところもある。
野武士に怯えてすぐにワーワー集まって騒いだり、虜として捉えた野武士を情け容赦なく殺したり、黒澤は現代でいう一般大衆の無能さを百姓で表現したのかもしれません。
菊千代は、死にたいと言う老婆を見て「情けない奴が大嫌いだ!」と言います。可哀そうで惨めな奴が大嫌いという菊千代は黒澤の気持ちを代弁しているのでしょうか。敗者になって嘆くのではなく、そうならないために必死で努力しろよ!菊千代を借りて黒澤が叫んでいるようにも思えます。これは強者の論理かもしれませんが。
痛快アクション大作なんですが、ラストはやるせない気持ちになるんですよね。
野武士は倒せたのだか、こちらも大きな代償は払っている。仲間の命という、かけがえのないものを失って、平和は訪れている。
ま、そういう安易なパッピーエンドではないのが、また好きなんですが。
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三船が演じる菊千代はやっぱりずば抜けている
侍も百姓もみんな走る走る。走る演出させれば黒澤明はピカイチです。人がガーっと集まったりバラけたりする集団の動きも画の構図にスキがない。しっかりカメラも交えてリハーサルをしているのが見て取れます。故に見ていて気持ちがいい。
三船敏郎が最高です。ユーモラスな菊千代というキャラを見事演じています。百姓の与平との絡みは面白いですね。与平単体でも十分面白いですが。左卜全演じるあの間抜けさは最高です。左卜全は『どん底』のお遍路役も強烈ですよね。
私の中で三船敏郎が演じたベストワンはこの菊千代ですね。演じているようには思えない素の野獣さとユーモアと勇敢さなんですよね。あとやさしさと哀しさも。不自然さが見当たらない。本当にすごい役者さんです。
与平以外でも百姓たちのキャラ立ちはしっかりしています。このあたりの描き方がしっかりしているから面白いんです。
女房を野武士にとられて闇を抱える百姓利吉。自分や娘のことだけを考えている腹立つ百姓の万造。その娘の志乃。キャラの性格をしっかり掘り下げてそれをスクリーンに表しているから、いろいろなエピソードがしっかり入ってくる。
志村喬演じる島田官兵衛が言った最後のセリフ、
「勝ったのは我々ではなく、百姓たちだ」
菊千代が意味するもの
高橋実という小説家なのか映画評論家なのかわからない人ですが、菊千代と黒澤明についての氏の興味深い見解がありましたのでご紹介します。
日本映画のベストワンに必ずといっていいほど選ばれる『七人の侍』が黒澤にとって特別の映画であるという意見に私も賛成である。しかし、それは日本映画離れしたド迫力のアクションシーンとかエンターテイメント性とかが理由ではなくて。それは三船敏郎演じる菊千代というキャラクターによるものだ。
『七人の侍』のちょっとした息抜きのシーンで、七人のひとり、平八が「戦のときはな、何かこう高くひるがえるものがないと寂しい」と旗をこしらえる場面がある。彼はその記号と文字の入り交じった旗についてこう説明する。「これはたんぼの田の字。つまり百姓たち。この村だな」菊千代は「この〇は?」とさらに説明を求める。「俺たちだ」「なんだ6つしかないじゃないか。俺はのけ者か」そこで平八は「いや、この三角が菊千代様だ」
この三角こそが黒澤が自らの思想を止揚することによって到達した解説の境地だった。
黒澤映画の構造は多数の弱者を少数の強者が導くことで成立する。しかし、『七人の侍』の頃には黒澤の内部で激しい葛藤があった。そして、菊千代という侍でもなく農民でもないキャラクターが両者の媒介として生み出されたのだ。つまり自己の性であり限界でもある単純な図式を自らの手で破壊する真の意味での創造性があったのだ。
これに対して『用心棒』の名無しの男は、無償で弱い百姓夫婦を逃して助ける。しかも自分の命を危険にさらしてまで。にもかかわらず、その逃げた農民は置手紙をして男の策略を台無しにするのだ。ここでの強者と弱者の関係は一方的なものであり、しかも明白にお荷物としてしか描かれない。
『七人の侍』の最後の山場はアンチ・クライマックスとも言える菊千代の死だ。あくまで侍に憧れ続けた菊千代は七人中もっとも侍らしい久蔵にまるで殉死するように死んでいく。そのシチュエーションが冒頭で官兵衛が見事強盗をやっつけたのと同じであることに注意すべきだ。
菊池代には官兵衛にできたことが出来なかった。侍失格者だったのである。官兵衛が最後に存外軽い口調で「勝ったのは農民たちだ」という。これは農民が勇敢に戦ったということではなく、彼らの生命力に感嘆してのことだろう。しかし、本当は官兵衛にその言葉を言わせたのは、侍になれずカッコ悪く死んでいった菊千代その人だったのではないか。
この映画の中で菊千代は実に醜い。しかし一見汚い作りだが恰好が良すぎる名無しの男よりもずっと美しい「醜さ」だった。それは菊千代が唯一大衆と繋がった黒澤自身だったからではないか。そして、それは彼の作品に2度と現れることはなかった。
高橋実
※4 河出書房新社発行 「黒澤明 生誕100年総特集」より抜粋
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あらすじ
時は戦国時代、盗賊と化したの武士たちが村を襲うようになっていた。
村は去年、野武士に襲われ、被害を受けていた。
今年もまた野武士がやってくるという時、
村の若い百姓、利吉が、野武士と戦うことを提案する。
長老は侍を雇うことを思い立ち、4人の百姓が、町に出て侍を探すが、百姓の願いなど聞いてくれる侍はなかなか見当たらない。
そんな中、町で事件と出くわす4人。
人質を捕まえて立てこもっている盗人を見事に倒して、人質を助け出したのは、初老の侍・勘兵衛であった。
立ち去る官兵衛の後を追う4人の百姓。意を決して官兵衛にお願いする。
制作:本木荘二郎
脚本:黒澤明 橋本忍 小国英雄
撮影:中井朝一
美術:松山崇
照明:森茂
音楽:早坂文雄
助監督:堀川弘通 清水勝弥 広沢栄
出演:志村喬 三船敏郎 宮口精二 木村功 千秋実 加東大介 稲葉義男
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