黒澤明「生きる」は「七人の侍」と並ぶ最高傑作!

生きる

黒澤明「生きる」ここが凄い!ポイント

志村喬の演技が凄い!
雪のシーンの撮影が凄い!
展開が凄い!
お通夜での大人数によるシーンが凄い!
真正面から官僚主義批判をしている!
この映画のテーマは永遠に古くならない!

 

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4年ぶりに東宝に戻って監督した作品。

 

「七人の侍」と並んで黒澤の最高傑作と評価されている作品である。

 

トルストイの小説「イワン・イリッチの死」から着想を得て、死を宣告された人間がその後の余生をどのようにいきるのか、人間の生きがいとは何なのかを考えさせる本筋の中に、親子の断絶や、お役所仕事を通じて、官僚主義批判を盛り込んでいる。

 

物語中盤で、突然主人公の通夜シーンになり、死ぬまでの過程が、通夜に集まった人々の回想の中で表現されていくという構成は、60年経った今見ても新鮮である。
このシークエンスがこの映画の見所ではないだろうか。

 

また、主人公がゴンドラの唄を口ずさみながら、真冬の雪が降る公園で、ブランコをこぐシーンは有名である。

 

このシーンの撮影は真夏。雪は疎塩、石灰等で代用された。

 

これは黒澤の持論、寒さを表現するには冬に撮影するよりも、夏に撮影したほうがよい結果が出る、逆もまたしかり。というものからである。

 

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この映画はやっぱり途中主人公が死んでしまうという流れが
秀逸ですね。

 

少しだけネタバレですが、
ガンを宣告され、自暴自棄になった末、もう一度生きてみようと
決意して店を飛び出す主人公。

 

お店内のその横では、友人の誕生日を祝い、
「ハッピーバースディ」を合唱する女学生たち。

 

その合唱をBGMに新しく生まれ変わった主人公が、駆け出していく。
少女たちの合唱は、彼の決意が生まれたことを祝っているかのよう。

 

そしてその次のカットが、主人公の遺影のカット。
これがすごくいいです。キレっキレですね。めっちゃいいです。

 

その後、お通夜での参列者のから、主人公の死ぬまでの生き方が語られていくという内容なのですが、この時間軸の反転は今でもあまり使いこなせる監督はいないんじゃないでしょうか。

 

ここでの演出と演技が、黒澤明の凄さを体感するポイントではないでしょうか。脚本のクオリティとして圧倒的次元に達しているでしょう。

 

大人数でのシークエンスだが、登場人物のひとりひとりに対して、誰がどういう立場で、どういう心情なのか?ということを、これほどまでにうまく鑑賞者に伝えることに成功している例がは、他にはないと思います。

 

 

この映画は、公務員や官僚、政治家をアンチテーゼにして、人間が「幸せに生きる」ということを主題にしています。

 

それと同時に、「何かを作る素晴らしさ」もテーマにしているのではないか?とも、個人的には思います。

 

その対極の環境やキャラ設定として、お役所仕事を選んだのだと。

 

主人公の心を変えた、若い女性の一言、

 

「課長さんも、何か作ってみたら?」

 

このセリフが、この映画で黒澤が言いたかったことを、すべて表しているように思います。

 

何かを作る仕事は苦しい。生みの苦しみ。しかしだからこそ素晴らしいというのを、映画を使って、主人公を使って叫んでるように思います。

 

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『生きる』に見える黒澤明のコメディ性

映画批評 轟由起夫
※4 河出書房新社発行 「黒澤明 生誕100年総特集」より抜粋 

黒澤の好んで描いた、太陽や雨や風などと同じくらい起伏の激しい人生。人生とくれば『生きる』だろう。
あればどまさしく「緊迫の中の笑い」と「笑いの中に緊迫」を絶妙に天秤にかけたコメディだった。とりわけ後半、ガンで死んだ主人公(志村喬)の通夜のシーンを観よ。人間という、愛おしくどうしようもない生きものの宴。

 

市役所の同僚たちの回想でシビアな男の生きざまは蘇るのだ。が、同時に酒が入ることで彼らの俗物ぶりにもターボがかかる。主人公の功績にケチをつけた助役が席を立った途端、主体性ゼロゆえに”蠅取り紙”とあだ名された千秋実演じる職員が正義派ぶって「手柄を横取りするやつは人間じゃねえ」などと調子よくのたまう。

 

すると左ト全演じる職員が「助役とはっきり言え!」と言葉のハリセンを飛ばす。そして叱咤され凍り付いた表情の藤原釜足、千秋実ら小市民たちの面白すぎるリアクション。なんだかわからないけれど笑った分だけ泣けてしまう、これぞ喜怒哀楽ジェットコースターコメディだ。

 

しかしである。不思議なのは「緊迫の中の笑い」と「笑いの中に緊迫」のたずなを巧みに握っていた、あの傑出したテイストが、晩年黒澤明から消えていたのはなぜなのだろうか。

あらすじ

 

黒澤明 生きる

 

渡辺勘治は、市役所勤務の市民課長。
昔は持っていた仕事への情熱は消え失せ、
毎日書類に目を通さず、黙々と判子を押すだけの
無気力な毎日をおくっていた。

 

市役所ではある意味、
"仕事を増やさないのが仕事"という役所体質が蔓延していた。

 

ある日、渡辺は自分が胃癌で余命半年だと知る。
不意に訪れた死への日々の中で、これまでの自分の半生を走馬灯のように振り返る渡辺。

 

それまで真面目で仕事もずっと皆勤だった渡辺は自暴自棄になり、
仕事も無断無断欠勤し、貯金をおろして夜の街で飲み歩く。

 

しかしそんな刹那的な行動も虚しさだけが残り、
事情を告げていない家族には、白い目で見られる。

 

そのあくる日、渡辺は元部下の小田切と偶然に出会う。
何度か食事を共にしたり一緒に時間を過ごすうちに彼女の奔放な生き方、
その生命力に渡辺は惹かれる…

 

その小田切に渡辺は自分がガンに侵されていることを告白すると、
彼女が「あなたも何か今から作ってみたら?」
そんな言葉が返ってきた…

 

制作:本木荘二郎
脚本:黒澤明 橋本忍 小国英雄 
原案:トルストイ「イワン・イリッチの死」
撮影:中井朝一
美術:松山崇
照明:森茂
音楽:早坂文雄
助監督:丸林 堀川弘通 丸輝夫
出演:志村喬 小田切みき 伊藤雄之助 田中春夫 金子信雄 千秋実

 

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